「…貧血? 今日も寝不足だったのかな。また昼食抜いたとか?」

 『大丈夫ですかー? 木南先生』と木南先生に声を掛けるが、反応がない。

 「寝不足? 昼食抜いたって何の話?」

 しゃがみこみ、木南先生の瞳孔や脈を確認しながら、早瀬先生がオレを見上げた。

 「あぁ。木南先生、本人は認めてないんですけど、最近ダイエットしてるみたいでよく昼食抜いてたんですよ。寝不足は、夜遅くまで引っ越し作業しているみたいです」

 木南先生は倒れてしまったけれど、ただの貧血だと思い、野村さんの頭部の縫合をしようとした時、

 「ストレッチャー持って来て!! 早く!! MRI室空いてるか確認もお願いします!! 木南先生を検査に回して!!」

 早瀬先生が顔色を変えて、周りのスタッフに指示を出し始めた。

 「柴田くん、野村さんの縫合は私がやります。柴田くんは木南先生の検査をしてきてください。私もすぐにそちらに向かいます」

 そして、オレを押しのけて手術台に立つ早瀬先生。