メーデー、メーデー、メーデー。


 木南先生は優雅に寝ていられても、オレはごゆっくりなどしている場合ではない。

 再度野村さんの病室へ行き、オペが明日になった事を告げると、医局でひたすらにグリブラ手術の予習をした。

 木南先生の第二助手を務めなければならない緊張感と、もう一度木南先生のオペを見る事が出来る事への興奮で、胸の高鳴りがなかなか収まらない。

 木南先生の足を引っ張らない様に、何か役に立てる様にと、木南先生が言っていた術式を何度も何度も確認し、頭に叩き込む。

 万全の態勢で挑もうと、今日も残業をせずに上がらせてもらい、いつもよりだいぶ早い時間にベッドに入った。…が、なかなか眠りに就けなかった。

 明日の事で頭がいっぱいだ。

 こんなに明日が来る事を待ち遠しく思ったのは、中学時代の初デートの前日以来かもしれない。