メーデー、メーデー、メーデー。


 他に寝ている職員がいるかもしれない為、そっとドアを開ける。しかし、使用されているベッドは1番奥だけだった為、頭から布団をすっぽり被っていて顔は見えなかったが、そこで寝ているのが木南先生である事が特定出来た。

 「木南先生、木南先生」

 木南先生に近づき、布団の上から軽く揺すると、

 「んー?」

 木南先生は布団から顔を出す事なく、怠そうに返事をした。

 「オペ室、明日の午後一で予約入れました。早瀬先生もOKだそうです」

 「了かーい。もうちょい寝るー」

 寝足りない様子の木南先生は、オレに返事をした後すぐに眠りの世界へ戻っていった。

 明日がグリブラのオペだと聞いても余裕をかましている木南先生に、ちょっとした腹立たしさを感じながらも『カッコイイな』と思ってしまう自分が、やっぱり悔しい。

 「ごゆっくり」

 木南先生の眠りを妨げぬよう、足音を立てない様に静かに仮眠室を退散した。