「…はーい」
ここはおとなしく引き下がる事に。木南先生にまた臍を曲げられたら面倒だ。
パソコンから野村さんのCTのROMを抜き取り、手術説明用紙を手に取ると、早速野村さんの病室へ行こうとしたオレに、
「このオペの段取り、早瀬先生にも伝えておいてね」
『行ってらっしゃーい』と木南先生が手を振った。
早瀬先生の件は、オペの為だから仕方ないが極力は関わりたくないだろう木南先生の気持ちは分かる。だから、オレがお願いに行くのは別に良い。ただ、野村さんの手術説明に関しては『どうせ暇なんだから木南先生がやってくれよ』と正直思ったが、言えるわけもない。
「りょ…承知しました」
危うく『了解しました』と言ってしまいそうになり、慌てて訂正。
「お、ちゃんと覚えてたな。偉いぞ」
そんなオレを『ククク』と木南先生が笑った。



