メーデー、メーデー、メーデー。


 「待ってください!! …だって、オレに出来る事なんてあるんですか?!」

 木南先生の腕を掴み、退室を阻止する。

 「あるから言っているんでしょう? 時間との勝負の中でアンタに教えたい事があるから、早瀬先生の力が必要だって言っているの。大きなオペだし不安なのは分かるよ。でも、言い訳を並べて逃げるな」

 木南先生がオレを睨みつける様に見上げた。

 「それに、執刀医は私で、第一助手は早瀬先生だって言ったでしょう? 何があったって第二助手の研修医に責任は及ばない。だからって無責任なオペをしろっていうわけでは当然ないけど、オペを怖がる必要はない。…ここまで言っても拒否するの?」

 オレのオーベンではなくなった木南先生が、オレに経験を積ませようとしてくれていた。

 「…拒否しません。すみません。オペに参加させてください」

 だから、さっきと違った意味で首を左右に振って否定した。