「研修医が見ても分かる通り、時間がない。オペをするなら今日中に野村さんに承諾を得て、オペ室の予約を入れる事」
「はい」
木南先生の話を聞きながら、デスクの上のメモ用紙に『同意書』『オペ室予約』と書き込む。
「それと、第一助手に早瀬先生、第二助手には研修医、アンタが就いて」
「はい……えッ?!!」
『第一早瀬』までメモしたところで、事態に気付く。聞き間違いかと木南先生の方を見るが、
「このオペ、時間との勝負になる。長時間は体力が保たない。グリオーマのオペは早瀬先生の得意分野だった。彼の力を借りたい。早瀬先生のスケジュールを確保して」
オレの驚きを気にも留めずに木南先生は淡々と指示を出し続けた。
「あの…第二助手って…」
一応確認の為に木南先生に聞き返してみる。
「聞いてなかったの?! 研修医がやってって言ったでしょうが」
やっぱり聞き間違いではなかった。



