「…私ならオペが出来る? どうしてそう思ったの?」
木南先生は、オレの疑問の中に疑問があった様で、オレの質問に答える前に質問を返してきた。
「だって木南先生は優秀なんでしょう?! 有名なんでしょう?!」
根拠と呼ぶには幼稚すぎるオレの理屈に呆れかえったのか、
「何、その理由」
木南先生は眠そうに、右手で目を擦った。
「グリブラの患者さん、最後の希望を賭けて木南先生を訪ねて来たんですよ。木南先生が患者さんにとっての最後の砦なんですよ。病状確認をした上でオペ不能の診断を下すなら納得も出来ますが、それすらせずに拒否しないでくださいよ!! 命が懸っているんですよ?!」
どんなに漠然としていようとも、オレの根拠は『木南先生だから』だ。オレは木南先生の信じる医学を、腕を信頼している。



