メーデー、メーデー、メーデー。


 「吉田、先に行ってて。私もすぐに行くから。研修医、川原さんの容体を説明してみて」

 木南先生は、吉田先生を川原さんのオペに行く様促しながら話の要点を変えた。

 「今、そんな話…「いいから答えなさい」

 話を戻そうとしたオレに、強い口調で自分の質問を押し付ける木南先生。

 「…内臓破裂です。胃・腸壁に損傷があり、そこから空気が漏れています」

 さっきみたCT画像の様子を見たまま口にする。

 「それだけ?」
 
 「え?」

 「アンタは川原さんを『加害者』という目で見ているから、学生でも分かる症状を見落とすの。確かに腸管の破裂部位と重なっているし、損傷も激しかったから見辛かったかもしれない。でも、あれを見逃す医者はいない。川原さんの腸管は、1回転していた」

 「…絞扼性イレウス?」

 『何故そんな簡単な症状に気付かなかったんだ』とパソコンに目を向け、川原さんの腹部画像を確認する。