メーデー、メーデー、メーデー。


 「雀の涙程度の給料しかもらっていない研修医に貢物をせびる気なんかサラサラないけど、まぁ、その程度のお願い事という解釈でいいんだよね? 当然」

 テーブルに紅茶とチョコを並べ終えた木南先生が、オレの正面に腰を掛けて、意地悪な顔をしながら紅茶のカップに口を付けた。

 「オレ、何か買って来ます!!」

 スクっと立ち上がったオレに木南先生が、

 「よし、そのまま帰れ」
 
 なんて言うから、

 「嫌です」

 秒でソファーに座り直してやった。今買い物になど行ってしまったら、木南先生は2度とオレをこの家に入れてくれないだろう。

 「木南先生、どうしてオペをしてくださらないんですか?」

 手土産についてこれ以上グチグチ突かれたくなくて、本題へ入る事に。

 そもそも木南先生は手土産の有無など気にする様な人間ではない。木南先生はただ、オレのお願いを聞く気がなくていちゃもんをつけているだけだ。