木南先生の部屋の玄関ドアの前に立ち、ベルを鳴らすと、あからさまなしぶしぶ感を醸し出した木南先生が、中からドアを開けてくれた。
白衣でも術衣でもない木南先生の私服姿に、ちょっとした違和感を感じる。オレの中では木南先生=医師だから。
「お邪魔しまーす」
ウエルカム感ゼロの木南先生などお構いなしに、玄関で靴を脱ぐ。
「邪魔な自覚があるなら帰りなさいよ」
木南先生は面倒くさそうにオレの足元に来客用と思われるスリッパを用意してくれた。
「どうもでーす」
木南先生の嫌味など気にも留めずにスリッパに足を通すと、『こっち』と木南先生が突き当りの部屋を案内した。
そこは広くてオシャレなリビングだった。
『この成功者め』と心の中で木南先生を羨ましがりながら突っ立ていると、
「その辺のソファーに適当に座ってて。飲み物、紅茶でいい?」
木南先生はオレをお高そうなソファーに座る様に誘導し、自分はお茶を淹れにキッチンに向かって行った。



