再度インターホンを鳴らし、木南先生を呼ぶ。

 『…オイ。警備員呼ぶぞ』

 物凄く低い声で返事をする木南先生。

 「『無理』の理由を教えてくださいよ。納得したら帰りますから」

 しつこく食い下がると、インターホンから『はぁ』と木南先生のわざとらしい溜息が聞こえた。

 『ずっとそこにいられると、他の住人の迷惑』

 そう言って木南先生はまたインターホンを切ってしまったけれど、セキュリティのロックを外しエントランスのドアを開いてくれた。

 やっとマンションの中に入る事が出来た。エレベーターに乗り、木南先生の部屋へ向かう。

 エレベーターの壁に備え付けられていた鏡を見ながら乱れた髪を直していると、木南先生の部屋がある階に到着した。

 木南先生に会うのは数日ぶりだから、少しだけソワソワする。