「待ってください!! 患者さん、グリブラなんです!! かなり進行しています」

 『オペすればいいじゃない』

 「木南先生、お願いします!!」

 『何でよ。脳外にはいっぱい医者がいるでしょうが』

 「他の病院でオペ出来なくて、うちの病院も断った患者さんです。木南先生にしかオペ出来ない患者さんです。お願いします。助けてください。木南先生、お願いします!!」

 電話だと言うのに、必死に頭を下げて懇願。

 『悪いけど、無理。』

 だけど、木南先生の返事は冷たかった。

 「何でですか?!」

 『無理なものは無理。じゃあ』

 そして、木南先生より切電。話し相手がいなくなった受話器からツーツーという物悲しい音が鳴った。