「ホレ。今、木南のアドレス送信したから確認してみ?」

 春日先生がオレのタブレットを指差した。

 「ありがとうございます!!」

 早速タブレットを手にしメールを開くと、木南先生の電話番号を確認。

 デスクの上の電話機の受話器を持ち上げ、木南先生の電話番号をプッシュした。

 3コール後に、

 『はい。木南です』

 木南先生は電話に出てくれた。

 「木南先生、お久しぶりです。柴田です」

 『柴田?』

 「研修医の!!」

 『あぁ。研修医の』

 受話器の向こう側で木南先生が『ヒヒヒ』と笑った。

 1度もオレの名字を呼んだ事のない木南先生は、どうしてもオレを『研修医』と呼ばなければ気が済まないらしい。