メーデー、メーデー、メーデー。


 どちらの患者も緊急オペが必要。しかし、家族の同意なしでは成す術がない。どうする事も出来ずにもどかしい時間を過ごしていると、

 「吉田、川原さんの同意、取れたぞ!! すぐオペだ!!」

 吉田先生の同僚の救命の先生が、早足でオレたちの方へ向かって来た。

 「川原さんってどっちですか?」

 「腸管破裂の方」

 オレの質問に答えた吉田先生は、『良かった。オペが出来る』と呟き、手術室へ向かおうとした。

 「手、貸そうか?」

 そんな吉田先生に木南先生が助っ人を買って出る。

 「助かる!!」

吉田先生は、木南先生の申し出に顔を綻ばせると、木南先生と共にオペの準備に取り掛かろうとした。

 「…ちょっと待ってくださいよ。被害者じゃなくて、加害者を先に助けるんですか?」

 吉田先生の『良かった』の意味が全然分からない。何も良くない。被害者が後回しになるなんて、そんなのどう考えてもおかしい。