「さきちゃんっ、そんなたかいとこのぼったらあぶないよ!」


「だいじょーぶ。きょうちゃんもおいで?」


これは遠い幼き日の記憶。
確か、この時は俺達が5歳ぐらいの時。

近所にある公園でいつも俺達は遊んでいた。
その公園は丘の上にあるおかげで街全体が見渡せる。
君は決まって木に登る。
そんな君をいつも下から心配している俺。

何をするにしても臆病な俺神藤杏煠-シンドウキョウヤ-。
それに対して何にでも興味のある君水城紗姫-ミズキサキ-。
あの頃の君は笑った顔しか見たことがなかったんだ。

家が隣同士で家族ぐるみで仲の良かった俺達。
何をするにしてもどこに行くにしてもずっと一緒だった。
これからもずっと一緒にいるものだと思っていた。
ただあの事件が起きるまでは。