僕は水道の掃除をしている最中、重い空気

に耐えきれなくなり派手に溜め息をつきま

した。

ふと鏡から視線を感じ、反射的にその鏡を

見ました。そこには背後にある壁以外何も

映っていませんでした。


その後も何も起こらないまま、僕の勤務は

続きました。


しかしそんなある日、お客として来店した

親子の子供の方がそのトイレを借りたんで

す。

その子供はまだ5歳くらいに見えました。


あの重たい空気に耐えれるのかな・・・


若干ですが一抹の不安が胸をよぎりまし

た。幸い、僕の不安をよそにその子は何事

もなく売り場に戻ってきました。


良かった・・・何もなかったんだ。


きっとこんな事は、僕しか気づいていない

のでしょう。周りの先輩や上司も、一言だっ

て霊の話題を上げた事はありません。その

子の親だって、何も気にした様子はありませ

んでした。