恋し、挑みし、闘へ乙女

「あら、その言い方だと姑や小姑の悪口を言い合う会のように聞こえてよ」
「えっ! そうじゃなかったのですか?」

天真爛漫の苺の物言いに、その場が笑いに包まれる。

「――何にしても、私はこのお茶会があったから、慣れない公爵家でやってこられたのだと思っております」

白い虞美人草(グビジンソウ)を思わす儚げな美人がフフッと笑みを浮かべる。

「糸子様は男爵家の出でしたかしら?」
「蘭子様、その嫌味な言い方、お直しになった方がよくてよ」
「あら桔梗様、私は自分に正直なだけ。腹黒いよりはいいとは思いますけど?」

蘭子と桔梗、二人の間に火花が散った……ように乙女には見えた。

「心配しなくてもいいわよ、あの二人、いつもああだから」
「桐子様の言う通り、ストレスを発散しているだけよ」
「丸子様はお菓子でストレス発散ね」

桐子と丸子は見た目、対照的な二人だ。例えるとしたら長方形の羊羹と丸い大福だ。

「乙女様も遠慮しないでお召し上がりになって。このマカロン、フレッシュジュースを使っているからフルーツの香りが強くて美味しいわよ」

大福のような白い頬がモグモグと動く。実に美味しそうだ。