恋し、挑みし、闘へ乙女

公爵と伯爵は共に高位に位置付けされているが、二つの間には見えないバリアがあり、やはり、色々なところで差別化されている。

「七名……」乙女は口の中で呟きながら、怖い方々じゃなかったらいいけど、と重也の後に続く。

「こちらでございます」と案内されたのは裏庭にある豪華な温室だった。

和之国は東・西・南・北之国の中央に位置し、他の国のような四季がない。年中、春のように穏やかな気候で過ごし易い国だった。

だからだろう。四季を味わうために高位の邸宅には温室が設えてあることが多い。これもステータスを目視化するひとつだ。

当然、梅大路の家にも“夏の間”“秋の間”“冬の間”と呼ばれる温室があり、専門の庭師が管理している。紅子が自慢するだけあり、実に豪華で素晴らしい温室だが常磐邸の温室は梅大路邸に輪を掛け凄かった。

「皆様は温室の中央のお部屋にいらっしゃいます」

重成曰く、放射状に設えられた部屋には四季折々の花々が季節ごとに植えられていて、その中央にガラス張りのお茶室があると言う。

今、乙女が進んでいる廊下は、左手に真っ赤な紅葉が目を引く秋の風景、右手に向日葵が咲き誇る夏の風景があった。