「マダム・メープルに協力してもらい、これを作ってもらった」
「何ですって!」

乙女の顔が見る間に赤鬼のように真っ赤になる。

「ということは、純粋なプレゼントじゃなかったということですね!」
「プレゼントに純粋も不純もないよ。君を守るために不可欠なアイテムだ」

屁理屈もいいところだ! 乙女は更なる怒りを覚え、「それでも……」と込み上げる涙を飲み訴える。

「女性は殿方からアクセサリーを貰ったら純粋に嬉しくて……なのに……綾鷹様って最低! そんな仕掛けがあったなんて……」

堪えきれなくなった涙が乙女の瞳からポロポロ零れる。

「何だか裏切られた気分です!」
「えっ! あっ、ごめん」

綾鷹がオロオロと乙女に言い訳をする。

「君を傷付けるつもりはなかった。ちょっと待ってくれ。私は君の涙に弱いんだ。お願いだから泣き止んで。お詫びにこれをあげるから」

グスグスと泣き続ける乙女の左手を取り、綾鷹はその薬指にダイヤが煌めくプラチナの指環を嵌める。