恋し、挑みし、闘へ乙女

「私が質問したら、必ず事件のあらましを正直に答えること! 約束して頂けますか?」

「君って子は……」

綾鷹が深い溜息を吐く。

「了解した。この件について隠し事はしない。事実を話す」
「じゃあ、契約成立ですね」

乙女は「乾杯!」と磯辺焼きに付いていた湯飲みを手に取り、綾鷹の前に置かれたウォーターグラスにチンと当て、コクコク飲む。

「で? 他の理由は? もう察しは付いているのでしょう?」
「うーん、今は言えない。これは私の想像でしかないからね」
「契約違反では?」
「想像の話まで君にすると言っていない。君との契約は事実だけだからね」

やられた、と乙女は眉を顰め、「本当、策士ですよね」とパフェの残りと磯部焼きをヤケクソのように口にする。



「さて、食べ終わったところで行こうか」

だが、やはり美味しい物は人の気持ちにゆとり生む。乙女も例外ではない。

「次は“化け物屋敷”ですね」

綾鷹の言葉で乙女の気持ちも速攻でシフトチェンジされ、鏡邸に向かう。

「ここからはほとんど……いえ、全然記憶がないので……」
「心配は無用だ。あの屋敷には行ったことがある」