「どうして“化け物屋敷”と言われる場所に私を連れて行ったのでしょう?」
「そこなら誰も来ないと思ったから、と普通なら考えるよね」
乙女もあそこなら見つからないと思った。
「私もそう考えました。でも……あそこは鏡夜露卿のお屋敷ですよね?」
「ああ、鏡卿が亡くなった、とされてからは国の管理下にあるがね」
「そこが疑問なのです」と乙女は身を乗り出す。
「だって、いくら“化け物屋敷”と言われる場所だとしてもですよ、国が管理しているところですよ、普通ならリスクを避け、使わないでしょう?」
「確かにね」と綾鷹が口角を上げる。
「蘭丸があのお屋敷に私を連れて行かなければいけない理由が他にあるとしたら?」
「流石だね」と綾鷹が感嘆の息を吐く。
「恋愛小説作家から推理作家に転向したら? それなら堂々と作家活動が続けられるよ」
「茶化さないで下さい!」と乙女が綾鷹を睨む。
「茶化してはいない。かなり本気で言っている」
「それは私が国に……月華の君に背いている、と思っているからですか?」
「いいや」と綾鷹が首を横に振る。
「君の行動が時代を先取りしすぎている、と言いたいのだ」
「そこなら誰も来ないと思ったから、と普通なら考えるよね」
乙女もあそこなら見つからないと思った。
「私もそう考えました。でも……あそこは鏡夜露卿のお屋敷ですよね?」
「ああ、鏡卿が亡くなった、とされてからは国の管理下にあるがね」
「そこが疑問なのです」と乙女は身を乗り出す。
「だって、いくら“化け物屋敷”と言われる場所だとしてもですよ、国が管理しているところですよ、普通ならリスクを避け、使わないでしょう?」
「確かにね」と綾鷹が口角を上げる。
「蘭丸があのお屋敷に私を連れて行かなければいけない理由が他にあるとしたら?」
「流石だね」と綾鷹が感嘆の息を吐く。
「恋愛小説作家から推理作家に転向したら? それなら堂々と作家活動が続けられるよ」
「茶化さないで下さい!」と乙女が綾鷹を睨む。
「茶化してはいない。かなり本気で言っている」
「それは私が国に……月華の君に背いている、と思っているからですか?」
「いいや」と綾鷹が首を横に振る。
「君の行動が時代を先取りしすぎている、と言いたいのだ」


