「君は私をどんな風に思っていたのだい? いや、いい! 落ち込みそうだから何も言わなくてもいい。今回の件は考えなくても分かるだろう。拐かされた本人が電話をしてきたのだから」

「――確かに、あのお屋敷は化け物屋敷と言われるほど荒れ果てて電話もありませんでしたからね」

「そして、本人も携帯をなくしたと自己申告しているしね」

「ああ! そうか」と乙女がパチンと手を叩く。

「だから、電話は誰かから借りた。その場に味方はいないから敵から借りた……になりますね!」

「謎は全て解けた!」とばかりに乙女が胸を張る。

「で、龍弥はどうして電話を貸したのだ? まさか、その身を代わりに差し出した……」

なっ! 何てことをと乙女はアワアワと真っ赤になり、いきなり綾鷹のお腹にグーパンチをお見舞いする。

「そんなことあるわけないでしょう!」

見事にヒットしたグーパンチに綾鷹は「うっ」とダメージを受け、息も絶え絶えに「すまない」と謝る。

「分かったらよろしい!」

偉そうに言いながらも、本当は乙女も言いたくて仕方がなかったのだ。早々に「実はですね」と話し始める。

「暖炉の中から声が聞こえてきてですね……」

一部始終話し終えると、回復した綾鷹が「なるほど」とひとつ頷く。