恋し、挑みし、闘へ乙女

「思い込みで人を判断してはいけない、ということですね」
「そういうこと」

乙女とミミは顔を見合わせ、しみじみ頷き合う。

「お着替えが済み次第、リビングにどうぞ。紅子さんがウズウズしていらっしゃいます」

「これをお待ちなのかしら?」と乙女が携帯を振る。
蜜子は快く温室の写真を撮らせてくれた。

「ついでに今日、お集まりの皆様のお写真も撮ってきたわよ」

「どれどれ」とミミが覗き込む。

「うわっ! この方が蜜子様! 物凄い美人じゃないですか!」
「でしょう。実物はもっと美しいわよ」
「この小学生みたいな子も既婚者ですか?」

苺を指差しミミが訊ねる。

「私と同じ年ですって」
「嘘っ! 私より年上ですか? ベリーベビーフェイス!」

クッと笑いながら「実物はもっとお子ちゃま顔よ」と乙女は言うと、ミミは「オー、ジーザス!」と天を仰ぎ、芝居がかった溜息を吐き、「羨ましい」と呟く。

乙女が笑いながら画面をタップすると「あら?」とミミが一点を食い入るように見つめ、「糸子様?」と顔を上げ乙女を見る。

「ええ、そうよ。彼女のこと知っているの?」
「はい、男爵家のパーティーで何度か」