恋し、挑みし、闘へ乙女

読者の反応をじかに聞くことのない乙女は嬉しさに頬を上げ、ありがとう、と心の中で感涙する。



「お茶会はいかがでしたか?」

玄関で乙女を出迎えたミミが早々に訊ねる。

「もう、凄く楽しかった!」

乙女はチェリー・ブロッサムが褒められたのよ、とすぐにでも言いたかったが、周りに人がいたので我慢する。

「それはようございました。とても心配しておりました」
「私が何か失敗するとでも?」

当然、と言うようにミミが頷く。ムッとしながらも乙女は足早に自室に戻る。そして、入ったが早いか機関銃のように話し始める。

「お嬢様、もういいです。分かりました! そうですか、そんな奇特な方々がいらしたのですね」

ミミはそう言いながらも、これで作家活動続行じゃない! 余計なことを、と心の中で舌打ちする。

「それからね、蜜子様がこのお洋服のことを褒めていらしたわ。彼女、マダム・メープルが貴婦人のドレスばかり作っていないって知ってらしたわ。流石ね」

「へーっ、そうなのですか。私、高位の奥方は皆様、高級品ばかりお好みだと思っておりました。ですから、マダム・メープルの行為に否定的だとばかり……今まで色眼鏡で見ていたみたいです。反省です」

「私も、今日、お茶会に行くまでは怖い人ばかりだと思っていたわ」