「なかなか来れなくてごめんね。ここんとこ、引きこもってるんだって?」

 公英が明るく話題を切り出した。志音は浮かない顔をしている。

「…まだ、葵が死んだショックを引きずってるかな。そりゃそうだよね…。」

「…公英さんは?妹が死んだのにショックじゃないんですか?」

「そりゃあ、ショックよ。でも、いつまでも悲しみに打ち拉がれてるわけには行かないわ。私たちは、明日もまた、生きるんですもの。」

「明日もまた、生きる…。」

 志音は公英の言葉を確かめるように繰り返した。

「洸も…志音ちゃんのこと心配してたわよ。連絡していないんでしょ。そうやって、動かず引きこもってるのを否定はしないけど…。いつかは動きださなきゃ、何も変わらないよ。」

「動く…ね。」

「…葵にも、今の志音ちゃんみたいに閉じこもってる時期があったわ…。」

 懐かしそうに言う公英の言葉に、志音は驚いた。

「葵も!?」