「…それで、私の告白を断ったの?」

 洸は、ゆっくり頷いた。

「私も同じだよ。失うことは、怖いよ。だけどね、みんな同じ運命にあるんだよ。いつどこで事故や事件にあったりして死ぬかわからない。もしかしたら、私より先に洸くんが死ぬかもしれないんだよ。私だって、洸くんを失うことは怖いよ。この先どうしようって、思うよ。だからそんなに自分が最低だなんて責めないで。洸くんは、優しいよ。そんなことで、私に謝ってくれるなんて。」

「謝らせてくれたのは、公英だよ。…公英に言われて、思い直したんだ。あきらめたほうがいいと思ったのも俺の勝手な考えだから、そんな俺でも葵がいいっていうなら…葵の告白を受けようと思う。」

 葵は、その言葉で動かなくなってしまった。そして、しばらくすると涙を流しはじめた。

「え!ごっ、ごめん!やっぱり俺、この期に及んで図々しかったよね…」

 洸が葵の涙に慌てふためいていると、葵は洸の胸に飛び込んできた。
 洸は固まった。

「私の答えは、決まってるよ!」

 葵は洸の顔を見て満面の笑みを見せた。