「やめて!」


 志音は女性の手を振りほどいた。


「あなたに私の何がわかるっていうの!?」



「わからないわ。でも、自ら死を選ばないで。」


 女性は真剣な眼差しで志音の目を見た。


「ふざけないで! 私なんて誰からも必要とされてないのよ! 私が死んだって、誰も悲しまないのよ!!」


 志音は女性の眼差しに抵抗するように叫んだ。



 女性は一瞬も戸惑うことなく、志音にこう言った。



「あなたが死んだら! 私が悲しい。」





 そう言った女性は本当に悲しそうな顔をしていた。


 志音はその言葉と表情に言葉を失った。