「それから…この間まで、ずっと病院へ入院してたってこと?」

 志音は想像を絶する事態から、やっと状況が飲み込めた。

「その通り。せっかく治ったと思ったのに、ここでまたショックを受けた。でもね、その時に洸くんが病院に駆け付けてきてくれて、私にこう言ったの。」

“葵はどんな人間でいたいの?葵はいつもどんなふうに生きたいの?俺はね、せっかく生かされた命なんだから、一日一日、‘今日も生きたぞ!’って言えるくらい精一杯生きていきたいと思うんだけど、葵はどう?”

「その言葉から、私は変われた気がする。生きているこの今を大事にして、1日1日を精一杯生きていこうって、思えるようになったの。…なんて!実際どうかな?って思う時もあるけれど。」

 その葵の笑顔は、とても照れ臭そうだった。