「じゃあ…。」

 公英は目を潤ませて、声を震わせていた。

「じゃあ、今まで3年葵を支え続けていたのは何?同情?それだけ?」

『違う!同情なんかじゃない。』

「だったらどうして…?それって、それって…、彼女の病気に対する差別じゃないの?!結局洸は、自分のことが可愛くて、自分が傷つきたくないだけでしょ?」

『それは…!』

 洸は言葉が出なかった。
再び電話越しに、沈黙の時間が続いた。


「…最低。」

 公英がぽつりと言った。

「でも、そんなあなたのこと、葵は想ってるのよ。」

 洸は黙ったままだった。

「葵はとりあえず元気になったわ。…元気になった葵に会ってやってよ。その時に、洸自身が判断して葵に伝えて。この先、どんな関係でいたいのか。せっかく私が心配してるんだから、この機会を無駄にしないでよね!」

『あぁ…。わかった。』


 洸から葵の元へ電話がきたのは、その2日後だった。