―2日後―


 志音のもとに葵から電話が来た。

 ―いつもはメールなのに、珍しい…

 そう思いながら、志音は電話に出た。

 電話は、思いがけない誘いだった。
 葵は志音と一緒に洸に会いに名古屋へ行きたい、というのだ。
 ついさっき洸から電話があり、洸から名古屋へ来るよう誘いを受けた、とのことだった。
 しかも会うのは明後日。


「明後日…!いや、空いてるけど…何でお姉さんじゃなくて私なの?」

『お姉ちゃんは仕事で無理なんだ…。それに洸くんに会うようセッティングしたのも、お姉ちゃんの計らいみたい。妹思いなんだか何なんだか…まいっちゃうよね。』

と、葵は電話越しに空笑いした。

『それに…ぜひ一度会ってほしいんだ、洸くんに。…私を救ってくれた人だから。』

 その言葉は、とても重みを持っているように志音には感じた。

「…わかった。ついていく。」

 志音はゆっくりと返事をした。