「ダメだよ!」

 突然の声に志音は後ろを振り返った。



 ―まずい。人の目を盗んでここまで来たのに…。

 志音は心の中でうろたえた。




「ダメだよ! 自殺しちゃ。」


 そう言いながら、見つかって動揺する志音の元にその女性はつかつかと近寄ってきた。

 志音より大人っぽい。20歳くらいだろうか。170センチくらいの背丈からはすらっと伸びた華奢な手足。
 ベリーショートの髪型がとても似合っており爽やかだった。




「さぁ、こっちへ。」

 女性は志音の右手首を掴んで引こうとした。