「幸せってさぁ…。」

 葵は急に話題を変えた。

「自分で決めるものだと思うよ。他の人が“幸せそう”とか“不幸そう”って言うのは、あくまでも周りから見た自分のイメージであってさ。」

「何それ。あなたは不幸なの?」

「ポジティブシンキングってこと。自分の周りの状況を、自分がどう受けとめるかってことじゃないかなって。」

「どうせ、私はマイナス思考ですから。」

「でも…、私には志音は、生きてて、幸せそう。」

 志音はその言葉を聞いて、呆れたように深いため息をついた。
 すかさず葵が言う。

「何にもわかってないくせに!って言いたいのかしら。まぁ、あくまで私の、私の!イメージだから。ね。」

「…そういうの、気にするタイプなんだけど。」

 そう言いながらも、志音は葵と話すことを悪くないと感じていた。
 今までになかった新しい刺激を感じた。
 それは決して悪いものではなく、むしろ心地よいものだった。


「いいほうに捉えてくれると嬉しいんだけどなぁ…。そのうちでいいから。」

 葵は苦笑いをした。