【短編】手のひらを、太陽に…

 姉妹の二人は数分話をしたあと、席を立った。

 葵の姉は志音に軽く会釈をした。志音もつられて会釈を返した。

 ―一体葵は私のことを、姉にどう話したのだろう。


「じゃあね、葵!」

「じゃね!」

 そして、葵の姉はエレベーターに乗って行った。姉妹はエレベーターの中と外で向かい合い、扉が閉まるまで互いに笑顔で手を振っていた。



「…幸せそうだね。」

 ため息をつきながら、志音は葵に近づいた。