嘴が俺を摘まみ出そうと迫る。
が、突然、雀が視界から消えた。
呆気にとられる前にさっきとは比べ物にならないほどの暴風が吹き荒れた。
「う、うわぁぁぁぁ!!!」
俺は、風にさらわれて吹き飛んだ先の茶色いのに突っ込んだ。
「痛ったぁ……って、なんだこれ？」
風圧で起き上がれないまま辺りを見ると、身体が、茶色のゴワゴワした硬い沢山の真っ直ぐな毛に引っ掛かっている。
大きいがどうも羽根のようだ。
ビュオオオ！と風をきる音に混じって「ピーヒョロロ！」と鳶の声が聞こえる。
この羽根の持ち主、俺の引っ掛かっている鳥は鳶らしい。
流れて行く景色で、さっきまでいたのが川の土手だったのだとわかる。
俺の落ちた川だ。
舗装用のコンクリートの向こうに河川敷の草地が広がり土手がある。
土手の少し下にキラリと光を反射する水溜まりがあるからそこがあの池だったのだろう。