美容師さんだけあって服や髪型もお洒落だし、私にはキラキラして見える。
ダメだ。
こんなイケメン二人を前にして、いつも以上にあがってしまう。
「わっ、私は…あの」
「こちらは仙道鈴乃さん。うちの会員さんだけどちょっと人が苦手だから、あんまり見ないでやって」
私の代わりに村瀬さんが紹介してくれた。
「でも、零士はさっき、鈴乃ちゃんのことガン見してなかった?」
葵さんがそうツッコむと、村瀬さんはちょっと不機嫌そうに言葉を返した。
「俺はいいんだよ。彼女のアドバイザーなんだから。それよりうちの会員さんを、馴れ馴れしく鈴乃ちゃんとか呼ぶのやめてくれる?」
「はい…はい。分かりました」
葵さんは苦笑いを浮かべつつ、早速本題に触れた。
「で? それはそうと、一体何を揉めてたの?」
すると、村瀬さんは思い出したようにため息をついた。
「いや…だって。どう見ても野暮ったいだろ? 彼女の髪型。前髪は長過ぎるし、黒髪は重たいし…これじゃ第一印象暗すぎだよ。だからここに連れて来たのに、彼女が頑なに拒否するから」
「零士、鈴乃ちゃんにちょっと失礼だぞ」
「だから、鈴乃ちゃんって呼ぶのやめろ」
「いや、零士こそ失礼なんだよ。鈴乃ちゃん泣いてんじゃん」
村瀬さんがハッと私を見た。
その瞬間、私の涙腺は崩壊した。
「す、すいません……ごめんなさい……ホントにごめんなさい」
狼狽える村瀬さんを前に、私は泣きながらそう繰り返していたのだった。