すると、村瀬さんはこう口にした。

「じゃあ、50歳の男性を紹介してもいいんですね」

「え…」

思わずギョッとして顔を上げる。

「うちには、50歳の方だって登録されていますし」

「すいません……それはちょっと」

さすがに一回り以上も離れた男性との結婚は考えられない。

ブルブルと首を振ると、村瀬さんはふうーとため息をついた。

「仙道さん。ちゃんと許容できる年齢や年収を決めておきましょう。でないと相手の方にも迷惑がかかりますから」

「はい。すみませんでした」

何だか私は、人として色々なことが欠けているようだ。
きっと、呆れられたよね。

「それでは、年齢からいきましょうか。下はどうしますか?」

村瀬さんの言葉に、再び顔を伏せながら答える。

「すいません。年上がいいです」

そう。
よく考えたら、若い人なんてとんでもなかった。
コンプレックスを一生抱いて生きていく嵌めになる。

「じゃあ、上は何歳まで?」

「40歳までがいいです」

「では、30代の男性ということにしておきますね」

「はい。それでお願いします」


村瀬さんはパソコンに入力しながら質問を続けた。

「年収はどうしますか? 遠慮せずに正直に言っていいですから」

「あ…年収については特に。仕事にちゃんとついていて、家に取り立て屋が来ない方なら大丈夫です。年収が低くても一緒に頑張りますから」

あっ…また呆れられる?
恐る恐る村瀬さんの顔を見ると、今度は何も言わずに私の“言葉”をちゃんと打ちこんでいた。