｢そうだね!!!梨恋未だに出来ないもんね！｣

｢うるさいなぁ〜｣
私たちは、て言うより、私は、開脚前転の練習に励んだ。

だけど、未だに実技の本が取りに来られてない。このままだと、なんだか、本の方が可哀想になってきてしまった。

我慢が苦手な私は、ついに口を開いてしまった。

｢はやく、取りに来なさいよ！いつまでこのままなの？投げた張本人が取りに来れば済む話じゃない！｣

あーぁ、また、言っちゃったよ。
本音をすーぐ、ズバズバ言っちゃうんだよね〜。ほんっと、嫌になっちゃう。

｢お願い、取ってきて？？後で、理由話すから。｣
何それ、意味わかんない。私は今取りに来いっつったのに！

｢愛珠が持ってってあげて。めんどくさい。｣
腹が立った私は、ついに、愛珠をパシリとして、使ってしまった。

愛珠は、『人使いあら〜い！』って言いながらも、ちゃんと届けてくれた。
どんな理由があろうと、自分でまいた種は、自分で拾えっつーの！


それ以降イライラしていた。


放課後、蒼也が話しかけてきた。
｢あのさ、あの時投げたの、じゅっくんなんだよね。｣

だから、何よ！そんなの、誰でもいいわ！とりあえずとりにこいってーの！

｢そんで、取りに来なかった理由は、実はじゅっくん、女の子苦手なんだよね〜。｣
え、まじで？あのルックスで？？
モテないはずはないのに、女子が苦手って、ギャップがすごいと、思わず思ってしまった。
｢だから、梨恋が怒った時も、すごく動揺しててさ。｣
そんなこと、全然知らなかった。
まず、今まで話したことないのに、分かるわけないじゃんよ。

｢ごめん。そんなこと知らなかったから。｣

｢別に、謝って欲しかったわけじゃないから、大丈夫だよ。｣
誰も、蒼也に謝ってないし！！
そんなことを心の中で愚痴りながらも、明日謝ろうと決意した。

部活帰り、1人になった私の頭の中は、寿喜という人のことでいっぱいだった。