「すごいよ九条くん!私、感動しちゃった!大人を差し置いて準優勝ってすごすぎるよ!九条くんってすごい人だったんだね!ビックリしちゃったよ!」
本当にすごいことだ。
2年前の九条くんも、大人とそうかわらない歌唱力があった。
私が興奮気味にそう話すと、ふんっ、と迷惑そうに顔を逸らされてしまった。
「あんな古いやつ見るなよ!恥ずかしいだろーがっ!もう二度と見るなっ」
頬が、ちょっと赤くなってる?
クールな九条くんも、こんな人間らしい顔するのか。
感情の起伏が薄いのか、いつ見てもロボットみたいに無表情なのに。
だからちょっと、その恥ずかしそうな表情にはびっくりだな。


