きみだけに、この歌を歌うよ




頬をぼたぼた伝う涙を乱暴にぬぐって、慌ててトイレを飛び出した。

するとトイレから出てすぐのところで、遅刻ぎりぎりで登校してきた九条くんとぶつかりそうになった。



「うおっ……びっくりした。いきなり出てくんなよっ!」

「九条くんごめんっ……!早くコンピューター室に行かなきゃって急いでて…っ」

「あ、それならちょっと待って」

「ん…?」