きみだけに、この歌を歌うよ





愁とよりをもどすなんて……。

やっぱり無理そうだ。



後ろをふり返って顔をみなくても、声を聞いただけでわかるもん。

杏里ちゃんに褒められた愁が、嬉しそうに笑っているとこ。



愁の目に私は映ってないみたい。

私はななめ前に座っているのに。

嫌でも私の背中が視界に入るはずなのに。



それなのに、ちっとも話しかけてこない。

まるで最初から、そこにいないかのように。