「愁のっ……バカヤローっ!杏里ちゃんとイチャイチャしちゃって!私と別れたばっかなのにどういう神経してんのよ!」



……ふぅ。

また少し、胸が軽くなった。



またバカヤローって言ってしまったけど……今回は大丈夫。

入念に周りに人がいないか確認したし、誰にも聞かれてない。



だだっ広い砂浜には、遠くの方に茶色い犬を散歩させてる女の人がひとりいるくらいだ。

後ろの方にある防波堤の奥には、私が住む家を含めた民家がずらっと並んでて。

だからもしかすると、ご近所の人には聞こえてしまってるかもしれないけど…。