きみだけに、この歌を歌うよ





「はは、わかったわかった。じゃあちゃんと言うよ」

「……うん」

「好きだよ。これからは菜々のために歌うから、俺の彼女としていちばん近くで応援しててくれないか?」



私の頬の上で競走するように滴り落ちる涙を、九条くんの親指が優しく拭ってくれる。

嬉しくて、嬉しくて。

これが夢だったらどうしようって、思わず怖くなってしまうくらい幸せなことで。



「うんっ……もちろんだよ!ずっとずっとずーっと応援するからねっ!」



だけどこれは、紛れもなく現実のことで。

私と九条くんの気持ちは、いまこの瞬間からひとつになる。

そして九条くんに腕を引っ張られ、胸の中に引き込まれたその瞬間に私たちの影もひとつになった。