きみだけに、この歌を歌うよ




涙を隠すようにして顔を顔を俯けると、涙がぽたぽた足元に落ちた。



「菜々?」

「……なに?」


ちょっとだけ顔をあげて、前髪のすきまから見た九条くんは優しい顔をしていた。



「俺のライブ、来てくれてたんだろ?3曲目の歌、どんなのだったか覚えてる?」

「なないろの光でしょ…。九条くんが作ったっていう……温かくて、聴いててリラックスできるような歌」



もちろん…。

覚えてるに決まってる。

のんびりとしたメロディはもちろん、歌詞だってちゃんと覚えてる。



だって九条くんが一生懸命、作った歌だもん。

1度聴いただけで歌詞もぜんぶ覚えられた。