きみだけに、この歌を歌うよ




九条くんは目を大きく見開いていた。

口をぽかんと開いて、驚いているみたいだった。



「え……俺の歌が、じゃなくて?俺自身をってこと?」

「……うん、そういうこと」



……顔から火がでそう。

何か反応してくれればいいのに、九条くんは黙りこんでしまった。



なにか考えこんでいるみたいに眉をよせている。

もしかして……反応に困ってる?



私が好きだなんて言ったから?

九条くんは私のこと、きっぱりと友達だって言っていたもんね…。



「……あはははっ!ごめんっ、やっぱり今の忘れて!」



急にフラレることがこわくなってしまった私は、勇気を振り絞って言った『すき』をなかったことにした。