きみだけに、この歌を歌うよ




「あっ、九条くんっ……!」



待つこと1時間。

黒いギターケースを背負う九条くんの姿を遠くに見つけた。

大きく手を振ると、九条くんは小さく手を振り返してくれる。



そして自分の家も通り過ぎて、私の家の前も通り過ぎて。

私がど真ん中に立っている、この砂浜に歩いてきてくれる。



「ちょっと〜っ、もぉめちゃくちゃ良かったよぉライブ!私、泣きっぱなしだったんだからっ」

「あれ、来てくれてたんだ?」



私の前まできた九条くんは、なんだかちょっとびっくりしてるみたい?