きみだけに、この歌を歌うよ





伊崎くんと梓って、会話をするような関係でもなかったから、伊崎くんの恋心にぜんぜん気づかなかったな。

でも、梓はなんだか嬉しそう。

最近、東堂くんにキャーキャー言わなくなったのは伊崎くんの存在があるからなのか?

梓の中で伊崎くんという存在が大きくなりつつあるのかも。



「んじゃあ私たちは邪魔にならないように、もうちょい離れたところでやろうよ」

「だな」



私と愁は梓と伊崎くんから5メートルくらい離れた場所でそれぞれ手にもった花火に火をつけた。



「そういえば、こうやって一緒に花火するのってはじめてだったよな」

「うん、そう言われればそうだね」



去年のいまごろだったか。

ちょうどこの浜辺で花火をする約束をしてたけど、天気があまりよくなくて中止になって。

それから結局、やらなかったんだよね。