きみだけに、この歌を歌うよ





知らなかった。

九条くんに見られていたこと。

恥ずかしい……。

九条くんの部屋にはいつも、レースカーテンがかかっていて外から中にいる九条くんの姿を見ることはできなくて。

だけど部屋の中にいる九条くんには、レースカーテンごしに私の姿が見えていたってことか。



「俺のことを待ってるんだろ?」



九条くんにまっすぐに見つめられて、どくん、と胸が揺れうごく。



「う……まぁ。そう、だね…。でももう九条くんの気持ちはわかってるから、明日からはもう…そんなことしないから」



私は九条くんの強い眼差しから、目を逸らしながら頷いた。

こんなのって迷惑だよね。

ウザイよね。

だから私はもう、浜辺で九条くんを待つことはやめるって梓と話していて決めた。