きみだけに、この歌を歌うよ





「泣かせてごめん…。でも、俺のために泣いてくれてありがとう」



首をぶんぶん、横にふった。

涙が止まるまで、膝をかかえるようにして顔をうつ向けていた。

私と九条くんのあいだにしばらく言葉はなく。

それから30分くらい経って、ようやく気持ちが落ちついた。



「今日はもう帰ろうか」



九条くんの問いかけに、ずっとうつ向けていた顔をあげる。

海に半分ほど沈む夕日の眩しい光に、思わず目を閉じてしまった。

それからとなりに座る九条くんをみると、九条くんは立ち上がって私を見下ろしていた。



「……うん」



私は差し出されたその手をぎゅっとつかむと、立ちあがった。