きみだけに、この歌を歌うよ




「これからも九条くんの歌、聴かせてよ…。九条くんの歌声に、私は支えられたんだよ」



ほんの5分まえ、も。

とびこえろ!、も。

雨色、も。



九条くんが歌うから、胸にじーんと響くんだ。

九条くんが歌うから、涙が溢れてくるんだ。



「これからも私、九条くんのこと応援するよ。お母さんのぶんも、たくさん応援するから…」



涙がはらはらと、紺色のスカートにしみをつくる。

涙で霞んだ視界の中で、九条くんは私をじっと見つめていた。



眉をぐっと寄せて、悲しそうに。

苦しそうに。