きみだけに、この歌を歌うよ





「9歳のときにはじめて地元の小さなコンテストにでて、運よく優勝できたときも泣きながら喜んでくれた。そうやっていつも、誰よりも俺の歌を好きでいてくれて、誰よりも応援してくれてたんだ」

「そっかぁ…」



いつの日か、九条くんはこんなことを言っていた。

『俺の歌を聞きたいって思ってくれてる人がいるから、それに応えたいだけだよ』

あのとき九条くんは、お母さんのことを思い浮かべながら言っていたんだ。



お母さんを喜ばせてあげたいから。

その期待に応えたいから。

だから九条くんは、数々のコンテストに出ていたんだね。